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ステップ (パソコンショップ) : ウィキペディア日本語版
ステップ (パソコンショップ)

株式会社ステップはかつて存在したパソコンショップ。パソコン以外にも、ビデオデッキ等の家電製品も扱っていた。千葉県市川市を本拠地とし、東京の秋葉原や大阪の日本橋にも出店していた。「5つのNO!」を掲げ低価格戦略で事業を拡大させたが、1996年(平成8年)9月に倒産した。
== 概要 ==
ステップは1979年(昭和54年)に寺田由雄が千葉県市川市行徳で創業し、翌年法人化。当初は普通の電器店だったが、後述の「5つのNO!」に象徴される徹底した運営コスト削減による低価格・大量販売路線に変更し、千葉県内で急速に店舗網を広げた。店舗は倉庫の様に箱ごと在庫が積まれ、小さな商品は客がレジに直接持って行き、大きな商品は型番を伝えて購入するという販売スタイルであった。また、店舗販売のほか雑誌広告による通信販売も行っており、秋葉原等に店舗を広げる前は通信販売が事業のメインであった。
1990年代に入って秋葉原や日本橋にも進出、一時は秋葉原の価格形成にも影響を与えた。ピーク時の1994年2月期には265億円を売り上げたものの、薄利多売が行き過ぎて、この時すでに赤字を計上していた。さらに、時を同じくしてパソコンのコモディティ化にともない単価下落と家電量販店の取扱い増大により価格競争が日々激化、急速に収益が悪化し翌1995年2月期には170億円と売上が大幅に減少した。家電店・パソコン専門店・大型ディスカウント店とも言えない中途半端な業態だったため、近隣とマニア層、通販広告以外の顧客が定着しなかった。
この売上の減少はステップに致命的なダメージを与えた。ステップでは通信販売において、購入者に前もって代金を入金させ、これを運転資金として商品調達を行っていたため、売上の減少による資金不足でWindows95発売時の「売れ時」を逃す結果となる。それでも何とか売上回復を期して、PCメモリを格安で販売する戦略に打って出たが、雑誌広告にメモリの価格を先読みして打ち出したため、雑誌に掲載された価格より調達価格が上回ることも多く、伝票上多額の損失を計上した。寺田社長は「マージンが入るので大丈夫」と公言していたが、それを確認できるような人物は人事面で既に排除されてしまっていた。
これらの打開策として秋葉原に「ステップPC工房」を開店。ジュエリー用のショーケースにPCパーツが陳列され、落ち着いた雰囲気の中で自作パーツの購入や好きな組み合わせでのパソコンオーダーができるという、従来のステップとは全く違う方向性の店舗であった。これと同時に本社機能の一部を秋葉原に移転したものの、3ヶ月後に再び市川市に戻す結果となり、この移転費用も大きな負担となった。肝心のステップPC工房のジュエリーケースも、サイズのミスで使用できない什器が出るなどした。
さらに、サービスを排除した低価格路線の象徴であった「5つのNO!」を廃止し、サービス向上と合理化を進めたが、今までの全店舗一括仕入れを各店毎の仕入れにしたため、スケールメリットを自ら放棄し仕入れ値を上げる結果となった。1996年2月期には165億円と前年期よりさらに売上が減少、最終的に資金繰りに行き詰まり、1996年(平成8年)9月20日に千葉地裁に和議を申請し倒産した。9月20日朝、ステップの幹部社員数名にだけ和議申請の事実が知らされ、店舗にて幹部社員が正午にシャッターを閉めるように従業員に指示し、その後従業員に倒産の事実が告げられた。負債は70億円〔ステップ、千葉地裁に和議を申請 PC Watch〕。
ステップの倒産後、寺田社長は1998年に株式会社GENO(ジェノ)を設立。同社はステップと同じくパソコンや家電の小売販売を行っており、秋葉原にも店舗を構えている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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